戸籍 とは
 日本国民の身分登録が戸籍で、戸籍は、
夫婦及び夫婦と氏を同じくする未婚の子を単位として編製されます(戸籍法6条)夫婦とその間の子が同じ「氏」の下に在籍しますから、「氏」には、家族の呼称という意義もあり、また、家族は基本的に戸籍を同じくする、とも言えます。ですから、「夫婦・親子(は)同氏の原則(民法750条790条)が採られている日本の戸籍の下で、夫婦の子が結婚すれば、新夫婦二人の内、その婚前氏を夫婦の氏とした者を戸籍筆頭者として、新たな戸籍が編製され(戸籍法16条)、親と別の戸籍となります。一つの戸籍に二つの夫婦が在籍することはありません。
 ですから、その子夫婦が、親と二世代住宅に同居したとした場合には、戸籍はその居住関係を反映しないので、そのような現実の家族共同生活を反映するため、住居及び生計を共にする者の集まりである世帯ごとの住民基本台帳とそれに基づく住民票が、市区町村ごとに作成されます。これらの内、戸籍事務は本来国の事務ですが、地元にあって住民と密に接している市区町村長に委託する形で行われています。国民の身分を公証するための重要書類である戸籍帳簿類は持出しが厳禁される厳重な取扱いになります。また、届出義務があるのに正当な理由なくこれを怠ると5万円以下の過料に処せられることがあります。
 人の生まれて亡くなるまでの家族の長い道のりには、その始まりと終わりの出生届けから死亡届け、そして、その間にも、婚姻届け、縁組届け、それらが終わる離婚届け、離縁届け、場合によっては婚姻の間にも認知届け、又、離婚に伴う、子の氏の変更
( のための「入籍届」)、場合により婚氏続称届け、さらには、配偶者が亡くなった後の姻戚関係終了届け等々、家族生活にまつわる様々な届出が必要になり、または、なることがあります。
 それらの内には、出生や死亡、裁判離婚
( 判決の確定により効果が発生します ) のように既成事実や法律事実について行う報告的なもの(報告的届出)と、婚姻や協議離婚のようにそれによって法的な効果が生じる創設的なもの(創設的届出)とがあります。報告的届出については、定められた届出義務者に義務違反があると上記のような制裁があります。創設的届出(婚姻又は離婚のほか、認知、縁組、離縁の届出)は、その届出によってその身分行為が成立しますが、戸籍窓口に出頭した届出人に対しては、運転免許証等によりその者の本人確認をし、届書の記載を形式面で落ちがないか審査するだけであることから、虚偽の届けも受理され得ます。それで、その者が届出事件の当事者本人でないときは、受理後に役所から当事者本人に対し、その意思なくしてなされた届出である場合それに対処することができるよう、受理通知を出します(郵送による届出については、すべて本人に通知します)。虚偽の届出があった場合、その届出人は公正証書原本不実記載罪(刑法157条)により処罰されますし、届けられた身分行為は無効です。しかし、無効な届出記載に対処するための「戸籍訂正」(戸籍法113条)は、その身分行為の無効確認の裁判が必要となる(戸籍法116条)ため、なかなか大変です(例えば、こちらをご覧下さい)虚偽の届出がなされる恐れがあるときは、予め、役所戸籍係に、自分が窓口に来て届けるのでない限り、受理しないよう申出をしておくと、受理されずに済みます(戸籍法27条の2)。届けの「不受理申出」と言います。
 ここで、それら各種の戸籍届けのうち主なものについてざっと見渡せたらと思います。




出生届け

 子が産まれたときは、
14日以内(国外で出生があつたときは、3箇月以内)に、原則として、出産に立ち会った医師、助産婦等の作成した出生証明書を添付した届書に、父母の氏名を記載して、出生届けをしなければなりません(戸籍法49条)。婚姻している夫婦の間に生まれた嫡出子の出生届けは、父又は母が行い、子の出生前に父母が離婚していた場合は、母がこれを行います(戸籍法52条1項)
 そして、嫡出子は父母の氏を、出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称することになります
(民法790条1項)。つまり、婚姻に際して氏を変更していた母が離婚復氏(或いは婚氏続称)して父と別戸籍になる場合、子の親権者は母です(民法819条3項)が、子は離婚前の戸籍、つまり父の戸籍に記載されることになります(子を親権者である母の戸籍に移すためには「子の氏の変更」手続きが必要であり、このように子の親権者と戸籍が乖離するのは制度設計上問題であると指摘されています)。また、全くの婚姻外で生まれた嫡出でない子の出生届けは、母が行い(戸籍法52条2項)、子は母の氏を称して(民法790条2項)、母の戸籍に入りますが、その出生届け、戸籍には、父親の名は記載できません。父親の名を記載するためには認知の手続きが必要となります。なお、戸籍と氏の関係について、こちらもご覧下さい。


認知届け

 人が婚姻外で子をなすと、その子は非嫡出子となり、原則として、民法779条が定める、親からの任意の認知を受けて、これによりはじめて父又は母との法律的な親子関係が築かれます。その認知は、781条1項が定めるところにより戸籍法に従い届け出ることによって行われます。この
届出は、それによって認知の効力が発生するので、創設的届出と言われます。これが認知の原則的な方式ですが、同条2項は、認知は、遺言によってもすることができる旨を定めますので、その場合は、本人が亡くなって遺言が発効すると、これにより認知の効力が発生しますから、この場合の遺言執行者による届出(戸籍法64条)は報告的届出ということになります。その他に、子の側から親に、認知するべきと家裁に訴える「強制認知」による方法もありますが、この場合、家裁での調停前置主義の定め(家事事件手続法257条)がありますから、まずは調停に付されることとなり、それが合意に達すると「合意に相当する審判」がなされます(家事事件手続法277条)。そして、調停不成立であれば、「認知の訴え」(民法787条、人事訴訟法2条2号)ということになります。裁判の結果、認知の判決が確定したら10日以内に判決謄本を添えて、当事者から届出をすることになりますが、その届出は確定した認知に関する報告的な届出となります。認知の制度について、こちらもご覧下さい。


婚姻届け
 婚姻は、婚姻届けによってその日成立します。結婚式を挙げた日ではありません。婚姻届けには、
成人の証人二人の署名押印が必要です。その際は、婚姻当事者二人の内のどちらの氏を夫婦の氏とするかを決めなければなりません(婚姻改氏)(戸籍法74条1号)。そして、どこを夫婦の本籍地とするかを決め、以後は、氏を改めなかった者がその新しい戸籍の筆頭者となります(なお→旧姓併記制度)。届けは口頭でも可能ですが、その場合、当事者二人と証人二人の計4人が出頭しなければなりませんし、各人の本人確認をした上、口頭で必要事項を述べなければなりませんから、時間がかかります。書面による届出は、本人が提出する(一人での提出が可能です)ほかに、郵送でも可能ですし、本人の使者として他人が提出することもできます。婚姻当事者本人がする場合も、他人が提出する場合も、提出者の身分証明により誰が提出したかの(提出者の)本人確認をし、他人の提出にかかる届出(郵送による届出はすべて)、役所戸籍係から(婚姻当事者)本人に受理通知が行くことになっています(戸籍法27条の2)もし他人が虚偽の届出をした場合は、公正証書原本不実記載罪(刑法157条)により処罰されることになり、婚姻は無効です(この婚姻無効の対処はなかなか大変です。こちらをご覧下さい)。虚偽の届出がなされる恐れがあるときは、役所戸籍係に予め不受理申出をしておくと受理されずに済みます(戸籍法27条の2)郵送された届書は、本人が死亡した後でも受理しなければなりません(戸籍法47条)。日本人同士で外国で挙式し、届出するときは、その国の日本領事館又は大使館に届出することになります(民法741条)未成年者の婚姻には父母の同意が必要ですが、平成30年の民法改正により、同34年4月1日からは、婚姻年齢・成年年齢が18歳になることに伴い、未成年者の婚姻ということがなくなり、父母の同意は不要となります。
 婚姻届けは、婚姻障碍がないことが確認されないと受理して貰えません
(民法740条)婚姻年齢に達しているか、重婚でないか、近親婚に該当しないか、再婚禁止期間での再婚ではないか、未成年の場合は父母の同意があるか等の障害事由の有無が審査され、障害事由がないことの確認を経てはじめて受理されることになります。そして、この審査に戸籍係のミスがあっても、ひと度「受理」があると、一応有効となり、婚姻障害を理由とし婚姻を取り消すためには、家裁に婚姻取消請求をしなければなりませんから、厄介です(但し、未成年の婚姻に父母の同意がなかった場合だけは、取消請求できません)婚姻取消しの判決が出ると、婚姻は、判決確定の日から将来に向かって取り消されることとなります。それまでは婚姻が継続するので、結果的には、離婚とさほど変わらないと言えます。




  人生ナ咲739結婚

   (事者)二人

         証人二人頼んで(婚姻)けしてこれで成立

      (舞台は)さく739も、れの門出

                         (人生の)並木路739Ⅱ

  

  婚姻()さい731から、なさんな737 七箇条

  守
ったで、難避()739証人二人(書面か口頭)

     その
法令違反もないと、められねば、受理されぬ




    ならぬ(まま)けりゃ

             
我子(わがこ)でもそのならば他人也


            
認知によりて父子(ちちこ)779ぞなる。




    我が子なら

      
(戸籍の法60~§65)(のっと)って)届出するかさもなくば

         
遺言(いごん)781戸籍法64条 によるの(認知の)(方式)がある

                   
781だ、認知せえやい781




    
()(まご) 法定代理(人)

         父母(ちちはは) 生前 卒後()三年 ()                                                 

       父母(ちは)() 787 ( ) 訴えできる


旧姓(旧氏) 併記制度 (住民票、マイナンバーカード等)

 平成31年(2019年)4月17日、住民票、マイナンバーカード等へ旧氏(きゅううじ)、つまり、旧姓を併記できるようにするための住民基本台帳法施行令等の一部を改正する政令が公布され、令和元年(2019年)11月5日に施行されました。この政令改正は、社会において旧姓を使用しながら活動する女性が増加している中、様々な活動の場面で旧姓が使用しやすくなるよう行われたものです。これにより、婚姻等で氏(うじ)に変更があった場合でも、従来称してきた氏、つまり旧姓を住民票、マイナンバーカードに併記し、公証することとができるようになるため、旧姓を契約など様々な場面で従前通り活用でき、旧姓併記が就職や職場等での身分証明に資することとなります。具体的な旧姓併記手続は下記のとおりです。
 この制度の登場によって、婚姻改氏によるアイデンティティーの遮断はある程度緩和されますし、婚氏を家族生活上の必要場面においてだけ適宜 証明資料として用い、実社会で旧姓が従前通り用いられる途を確保すれば、実社会における旧姓のままでの稼働を むしろ 促す基盤となるのではないでしょうか (そのためには、「併記」と言って 旧姓を括弧書きとするのではなく、婚氏を括弧書きとする英断が欲しいと個人的には思います)。なお、夫婦同氏に関する立法論私見もご覧下さい。

手続の方法

 次に記載している必要なものを持参し、市区町村にある請求書により申請します。

手続に必要なもの

1 戸籍謄本(併記を希望する旧姓から現在までのすべてのもの)

2 本人確認書類

・いずれか1点で良いもの

マイナンバーカード、住民基本台帳カード(顔写真付きのもの)、運転免許証、パスポート等、官公署が発行した顔写真付き身分証明書

・2点必要なもの

健康保険証あるいは年金手帳とキャッシュカード等顔写真のないもの

3 マイナンバーカードまたは通知カード

4 印鑑(印鑑登録をされている方で、旧姓の印鑑の登録を希望される方等)





国際結婚の婚姻届け
 日本人が外国人と結婚するときは、婚姻届けはどのように出したら良いのでしょうか。この答えは、「法の適用に関する通則法」(法適用通則法)という法律の24条に書かれています。同条は、次のように定めています。

 1 婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
 2 婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による。
 
3 前項の規定にかかわらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない。

婚姻の成立 上記の法適用通則法24条1項は、当事者両名の婚姻が法律的に成立したと認められるためには、各当事者の本国法に定められた要件をクリアしなければならい旨を定めます。したがって、日本人女性が外国で外国人と結婚式を挙げて、日本の法律上婚姻夫婦と認められるには、例えば年齢的には日本の婚姻年齢(民法731条)に達していることが必要ですから、平成30年の民法改正前は可能であった16歳の日本女性の婚姻は、改正により2022年4月1日以降は、認められず、18歳になるまで婚姻できないことになります(その代わり、未成年であるため必要とされた父母の同意は要らなくなります)。そして、相手男性が外国人であった場合は、その人の本国の法律が定める婚姻年齢に達していれば、たとえ日本法では婚姻できない17歳(例えば、イギリスは男女共16歳です)であったとしても、両名の婚姻は可能ということになります。このように婚姻年齢は、各当事者がそれぞれに自国法の要件を満たせば足りるとされる「自一方要件」ですので、そのような結論となります。しかし、その他の婚姻障碍、つまり、重婚・(再婚)禁期・近親婚については、「自他双要件」であるため、どちらの国の要件にも叶っていないと、婚姻は成立しません。そして、これら関係事項の証明のために,日本人については戸籍謄本を,外国人(或いは、外国の関係機関に対する関係で日本人)については婚姻要件具備証明書を提出することがそれぞれ必要となります。
婚姻の方式 次に、上記法適用通則法24条2項と3項によれば、日本人が外国人と外国で婚姻する場合の方式は、その国の法律(挙行地法)によるか、本国法、つまり日本法によるかを選択することができます。日本法によるときは、証人二人と共に署名・押印した婚姻届書を本籍地に送付、或いは他人に委託して届出することになります(日本人同士の場合※のように、日本大使等の在外公館に婚姻届けを出すことはできません)。他方、挙行地法によるときは、その法による方式(その国の関係機関から日本人の婚姻要件具備証明書の提出を求められる場合があります)で婚姻を成立させた後、婚姻証明書を受け取り、戸籍に婚姻の事実を記載する必要から、3カ月以内に、その謄本(日本語訳を添付します)をその国に駐在する日本の大使館や総領事などの在外公館、または本籍地の市区町村に届出することになります(夫の婚姻要件具備証明書の提出は不要です)※日本人同士の場合、民法741条にある特別規定により、その国にある日本大使館等 在外公館で届けができます。なお、日本と外国との間でこのような公的文書をやりとりする場合、翻訳が必要となり、その翻訳に翻訳者が、自分は両国語に堪能であり、公文書の記載内容を誠実に翻訳した旨を記載した宣言書(Declaration)を作成して署名し、この文書に外国語訳文と当該証明書等とを添付した上、その宣言書を公証人に認証してもらうことになります。婚姻証明書、婚姻要件具備証明書等は、公的機関が作成する公文書ですから、本来 公証人は認証することができません。しかし、上のような宣言書であれば、公文書ではなく、私人が作成した私文書、つまり私署証書なので、公証人が認証することができる訳です。詳しくは日本公証人連合会のホームページをご覧下さい。

 ハワイ801だろうとパリだろと、いず(れの)()()741とて外国で、あるれた801結婚をしたくばしな婚姻届大使公使領事受理する。         

§801は、外国に在る日本人間の縁組方式に関する規定

 なお、日本人と外国人が日本で婚姻届をする場合は、当然日本方式で届けますが、外国人については国籍証明書、外国人登録カード等の身分関係証明書のほか、その国の駐在大使等発行にかかる婚姻要件具備証明書(日本語訳が必要です)が必要ですので、それを添えて(日本人の)本籍地の市区町村に届出することになります。日本人同士が外国で婚姻届けをする場合は、上記のように民法741条により 日本大使等の在外公館に婚姻届けを提出してすることもできますし、或いは、その地から直接本籍地の市区町村に郵送で、若しくは、他人に委託して届出することもできます。
婚姻に伴う「氏」の変更 日本人が外国人との婚姻届を提出すると、その日本人は父母の戸籍から出て、自己を筆頭者とする新戸籍を構え、これに外国人配偶者の記載が加わることになります。ところが、外国人には「夫婦同氏」という日本の氏の規定(民法750条)が適用にならないので、外国人の名前はそのままカタカナで表記されます。それで、日本人が外国人配偶者の姓(familyname、surname)を名乗りたい場合は、婚姻の日から6か月以内にその旨を届けることにより、その外国姓を自己の姓としてカタカナ表記で記載して貰えます(戸籍法107条2項)。通常、氏の変更は、家裁の許可を得なければなりませんが、この場合は、例外的に家裁の許可が不要とされています。


日本人同士が外国で婚姻 (或いは養子縁組) をする場合

   
ハワイ801だろうとパリだろと、

        いず
(れの)
()()741外国で、
    
     ある
れた801結婚〔縁組〕

           したくば
しな
婚姻〔縁組〕届
       
         大使公使
領事受理する。


§741は、外国に在る日本人間の婚姻届けに、§801は、外国に在る日本人間の縁組届けに関する規定

国際結婚と国籍
 外国人との結婚は、当然の関心として、国籍はどうなるのか、に意識が行くと思います。昔、明治時代の国籍法は、日本女性の外国人との結婚は、日本国籍を失う結果をもたらす旨を定めていました。男性・夫権優位の考え方と、二重国籍は許されない原則とがその根拠となっていました。しかし、男女平等と国籍選択の自由が優位になった現在では、結婚は、国籍を左右する事情ではなくなり、国籍も当然喪失ではなく、選択できるようになりました。ですから、国によっては、いまだに当然に夫の国籍を取得するとする例外がない訳ではありませんが、国際結婚が当然に国籍の得喪につながると考える必要は殆どなくなっています。但し、結婚に伴い夫の国籍を取得する意思表示をすれば夫の国籍を与えるとする国、緩和した帰化要件を適用して帰化した上で国籍を取得できるとする国等がありますので、それぞれの国・事情に応じて判断することとなります。
 ただ、上記のように二重国籍は許されませんから、自らの意思表示によって外国籍となった場合は、日本国籍は失われます
(国籍法11条)。そして、その旨は報告的届出として戸籍係に届け出なければなりません。また、夫の国が、結婚によって当然に夫の国籍を取得する国である場合は、妻は日本国籍と夫の国の国籍との二重国籍となりますから、これを解消する手続きを践まなければなりません。つまり、所定の期間内にどちらの国籍を取るか選択をして市町村役場に国籍選択届けをします。期限までに選択届けがない場合、法務大臣から催告が来て、その後一か月以内に届けがないと、日本国籍は失われます(国籍法15条)





婚姻障碍 
 
   
不適齢731)重婚(§732)、禁期733)近親婚734~§736)

   
未成年、親が不同意
(の)婚姻は
(こちらをご覧下さい)

             御法度
だからしなさんな
737

 

 受理されぬ難所740一度(ひとた)受理 一応有効

   然
れども
不適齢 (§731)重婚(§732)禁期(§733)近親婚(§734~§736)

                       
後日取消()れあり(§743746


  親同意欠缺(けんけつ)(§737)

     
片方同意りるから、

          他方
不同意なさんな737

      
さくに739証人二ける(ことの)不備

             ‘
なしに 742とされて受理 有効



婚姻無効
 婚姻をするについて当事者間に婚姻意思がなく、或いは、婚姻届けがない、若しくは人違いであった等の事由があれば、当然に無効です。「当然に」無効ということで、当事者だけでなく、第三者からでも、そして、裁判等を経るまでもなく、その無効を主張することが許されます。戦地にあって婚姻届けもしていない者の婚姻について、なされたその者の父親からの婚姻無効確認の訴えについて、これを認めた判例
(最判昭34・7・3) があります。この判決は、「当事者の意思に基く届出を欠いた婚姻が無効であることは、民法七四二条の明定するところであつて、当事者以外の第三者においてもその利益あるかぎり右無効の確認を求め得べく、その第三者が当該婚姻届出書類を偽造した本人であるからといつてこれを別異に解すべきではない。」と判示しています。ですから、無効な婚姻の当事者とされてしまった人が、第三者から婚姻を前提とした主張をされたときは、婚姻取消しの裁判等を要せず婚姻無効を以て対抗することができます。とは言え、戸籍にされた婚姻の記載について戸籍の訂正 (戸籍の記載が、不適法又は反真実なとき真正な身分関係に一致させるよう是正すること) (戸籍法113条)をしなければなりませんから、そのためには、上記判例のような婚姻無効の裁判を経なければなりません(戸籍法116条)。しかし、家事事件であるため、まずは、調停前置主義の定め(家事事件手続法257条)により調停に付されることとなります。そして、調停において、当事者が合意に達すると合意に相当する審判がなされます(家事事件手続法277条)。調停が不成立であれば、訴え提起により、人事訴訟(人事訴訟法2条1号)で争うことになります。知らない間に無効な婚姻届を出されてしまわないためには、こちらをご覧下さい。




(養子)
縁組届け
 縁組届けは、それによって養子縁組が成立する創設的届出です。当事者である養親と養子が、民法799条によって準用される婚姻届けの規定739)に則って、原則、成人二人の証人と、合わせて計四名で届け出るのが、原型となります。但し、未成年(但し、15歳以上)養子の場合は、原則、夫婦共同養親795)でなければなりませんから、5名となります。 15歳未満の子が養子に入る場合は、子の親が法定代理人として代わりに縁組を承諾して届けることになります797)。その場合は両親が、証人2名の協力を得て、養親となるべき二人と届けることになりますから、計6名となります。縁組当事者が証人と共に署名・押印した書面で届け出ますが、口頭で届けることもできます739Ⅱ、戸籍法37条)。口頭の場合は、全員が役所に出向かなければなりませんし、必要事項を述べて、それを筆記して、確認してというように進めますから、時間がかかります 。未成年養子の縁組届けには家裁の許可798)の審判書謄本が必要となります。縁組要件の関係での届けの書式等につき、新潟市東近江市札幌市のホームページが親切ですのでご覧下さい。届けは、その侭簡単に受け付けられて終わる訳ではなく、未成年養子について家裁の許可798)を得ているか否か等、各種縁組障碍事由の審査にパスして初めて「受理」ということになります。そして、この審査に戸籍係のミスがあっても、ひと度「受理」があると、一応有効となり、縁組障害を理由とし縁組を取り消すためには、家裁に縁組取消請求をしなければなりませんから、厄介です。ですから、戸籍係は、慎重に受理手続きに臨むことになります。届出された縁組の戸籍での記載はこちらをご覧下さい ( 3頁の「英助」の欄 )。記載例のとおり、戸籍上から養子であることが一目で判り、実父母が誰であるかも判る記載となっています。

特別養子縁組届け

 特別養子の縁組届けは、家裁の特別養子審判を受け、その確定の日から10日以内に、審判書謄本を添えてする報告的届出となります。届出された特別養子縁組の戸籍での記載は、普通養子のそれとは全く異なります。つまり、戸籍の記載から養子であることは一目では判らず、通常の子の記載同様に「長男」とか「二女」というように記載されます。当然、養父母の記載もありません。こちらをご覧下さい。「三男」として記載のある「啓二郎」が、特別養子の戸籍記載例です。これは、実子同様に扱うために工夫された中間戸籍を挟む記載方法です。なので、この記載に至るまでに三段階の縁組記載を重ねています。初めに、元の実父母の戸籍における「特別養子裁判確定、及び、新戸籍編製につき除籍」の記載、次いで、その子を筆頭者とする新戸籍での、「特別養子裁判確定・実父母戸籍からの入籍・養父母戸籍への入籍につき除籍」の各記載、そして、養父母戸籍での上記記載となります。養父母戸籍での記載に「民法817条の2による裁判確定」との記載だけは残りますので、この条文に当たって読み、理解できる年齢になれば、子は自身が特別養子であることを知ることができることとなります。


 さきに739799れと

        養子
とし、親子となるには

  
 証人二人頼んで、(署)()

     書面
口頭難避(ため)739

       (養子)
縁組け えたなら

       愛育専心 
799

    



 
戸籍縁組

   
くに
792 (から) 799 八箇条

     (は)まれ800通せ縁組届

             
まらぬ受理ならぬ

  ならぬ届けも一度受理で、

    一応有効、然れども、


    
やれそう803やれよ804(から)やれや808(まで) 五箇条

        定められたる取消原因 あれば

                  
(家裁に) えて縁組取消しできる也。



縁組障碍

 
  未成年者子養子とる 違法バレし804縁組

     尊・長尊重しない破礼()
805

      後見マント
羽織
806無許可でなした後見縁


    
やれるのに806の2同意なくも796連合いをネグった縁組

   
      代諾、親権
停止監護権(の親の)、同意をとらぬ縁組

            
取消請求やれるのさ
806の3



 未成年
(子を)無許可養子(悪巧みの)れぬ807

  の縁組(取消)請求すれば
やまるのに806の2

  (成年後或いは欺し脅し脱した後)六月経過(取消しは)不可なれば

  
やれや 808取消りなば、えいわな807 808じゃ



縁組無効  
 
縁組をするについて当事者間に縁組意思がなく、或いは、縁組届けがない、若しくは人違いであった等の事由があれば、その縁組は、裁判等を待つことなく、当然に無効(民法802条)であり、当事者以外の者からもその無効を主張することが許されます。無効な縁組の当事者となってしまった場合、第三者から縁組を前提とした主張がなされたときは、縁組取消しの裁判等を要せず無効を以て対抗することができます。とは言え、戸籍に記載のある縁組について戸籍の訂正 (戸籍の記載が、不適法又は真実に反するとき真正な身分関係に一致させるよう是正すること) をしなければなりませんから、そのためには戸籍法による縁組無効の裁判を経なければなりません(戸籍法116条)。が、調停前置主義の定め(家事事件手続法257条)がありますから、まずは調停に付されることとなり、そこで合意に達すると「合意に相当する審判」がなされます(家事事件手続法277条)。そして、調停が不成立であれば、いよいよ人事訴訟(人事訴訟法2条3号)「縁組無効確認の訴え」ということになります。


協議離婚届け
 離婚届については、婚姻届の民法739条が準用される(764条)ので、婚姻時と同様に成人の証人二人の署名押印が必要です。届けは口頭でも可能ですが、その場合、当事者二人と証人二人の計4人が出頭しなければなりませんし、各人の本人確認をした上、口頭で必要事項を述べ、これを戸籍係が筆記して、当事者が筆記内容を承認するという手順となりますから。時間がかかります。書面による届出は、本人が提出する(一人での提出が可能です)ほかに、郵送でも可能ですし、本人の使者として他人が提出することもできます。本人がする場合も、他人が提出する場合も、提出者の身分証明により誰が提出したかを明らかにし、他人の提出にかかる届出であると判明したときは、戸籍係から本人に通知が行くことになっています(戸籍法27条の2)もし、他人が虚偽の届出をした場合は、公正証書原本不実記載罪(刑法157条)により処罰されることになり、離婚は無効です(この離婚無効の対処はなかなか大変です)。虚偽の届出がなされる恐れがあるときは、役所戸籍係に予め不受理の申出をしておくと受理されずに済みます(戸籍法27条の2)郵送された届書は、本人が死亡した後でも受理しなければなりません(戸籍法47条)日本人夫婦が外国で離婚届けを出すときは、その国の日本領事館又は大使館に提出することになります(民法741条)親権に服する子がいる場合、届書に、離婚後 夫婦のどちらが親権者になるかを記載しなければなりません(民法819条)。この親権者指定を欠く離婚届は受理されないのが原則(765条1項)ですが、それにも拘わらず受理されてしまったときは、そのために離婚の効力が妨げられるということはありません(765条2項)。また、離婚の効果として、結婚の際に氏を改めた方が「籍を抜いて」復氏するのが原則(民法767条1項)で、その場合通常「実家の籍」に戻ることになりますが、旧姓での「新しい戸籍」を作ることを希望する場合は、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄に新しい本籍地を記入し、合わせて同欄の中の、「新しい戸籍を作る」にチェックを入れます。復氏をせず、婚氏続称をする場合は3か月以内に役所に届けることになります(婚氏続称届け)(民法767条2項)。子の氏の変更の関係はこちらをご覧下さい。書式・内容が整っていれば、離婚する二人の内どちらからでも、協議離婚である旨を記載して、一人で届け出ることができます(戸籍法76条、戸籍法施行規則57条1項)。届書は、法務省のホームページ内でその書式・記載例がご覧頂けます。
 離婚届けについては、届書作成当時は離婚の意思があったが、その後届出までの間に翻意した場合の離婚届けの効力如何という点に関する判例
(最判昭34・8・7)があります。「右飜意を市役所戸籍係員に表示しており、相手方によつて届出がなされた当時、離婚の意思を有しないことが明確であるときは、相手方に対する飜意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない。」として、協議離婚は無効である旨判示しています。


  戸籍
は、離婚

    
さく
739証人(二人、4名の署名押印・書面、口頭) チェック後

      大
きく
()()765ならぬよう

         親権
以降819どちらか 確認し

           その
法令違反有無も、調べなければ受理できぬ。


    
調りずに受理
あれ


        
戸籍係
難務功 765 離婚届はなんと 有効!





裁判
離婚届け

 
判決で離婚が確定したときは、原告となった者は10日以内にその旨の離婚届けをしなければなりません。調停や審判等で離婚が成立したときも同様で、手続きを起こした者が成立した手続きを明示して届けます(戸籍法76条77条63条、戸籍法施行規則57条Ⅱ、家事事件手続法268条287条)。訴えや手続きを起こした者が定められた届出をしないときは、その相手方からも届出することができます(戸籍法77条63条Ⅱ)。前記10日の期限は、それを過ぎてしまったからといって届出ができなくなる訳ではありません。その日を過ぎると、相手方からも届出が可能となる基準日ということになります。

婚氏続称届け
 
離婚をすると、それに伴い、夫婦のうち婚姻する際に氏を改めた方が、婚姻直前の氏に戻るのが原則です(民法767条1項)。離婚復氏と言いますが、子の呼称環境を考慮し、又、周囲に離婚を露わにしたくない等の事情から、呼称を変えたくない場合は、離婚の際の氏をそのまま称することもできます(民法767条2項、戸籍法77条の2)婚氏続称と言います。これには家裁の許可をとる必要もなく、本人からの届出だけですることができます。元配偶者からでは、届出できませんし、また、元配偶者の承諾を得る必要もありません。届出期間は離婚日から3か月以内ですが、離婚届けと同時に届け出ることもできます。離婚届と同時に届出する場合は、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄には記載せず空欄の侭とし、「その他」欄に「同日戸籍法第77条の2の届出」(婚氏続称届けです)と記載します。同時に提出する77条の2の届書(「離婚の際に称していた氏を称した後の本籍」欄に)に新しい本籍を記載するためです。離婚復氏に伴い一旦旧籍に戻る場合は、その後この77条の2の届けによって、新戸籍を編製しますから、その後さらに子の氏の変更の手続きを践むことになって面倒です。子との同籍を最終目標とするのであれば、はじめから旧籍への復籍は断念し、旧姓であれ (旧姓で新戸籍を作る場合は、上記「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄に新しい本籍地を記入し、合わせて同欄の中の、「新しい戸籍を作る」にチェックを入れます) 、婚氏であれ ( 婚氏であれば、当然新戸籍となります)、いずれかの新戸籍を構えて、そこに子を入籍させるのが賢明と思います。戸籍係との事前の相談・打合せをお勧めします。



  離婚
してもな
767身一つに

  氏 (かえ)るも、復氏をば、嫌う妻夫なら、

   
名務して767離婚後三月(みつき)

    届
()
でれば婚氏続称「して」は、7の西語「シエテ」、伊語「セッテ」から





子の氏の変更手続き(家裁の許可・市役所町村役場での入籍届)
 
 
民法791条1項は、「子が父又は母と氏を異にする場合は、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる」とし、また、同条の3項は、「子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる」と定めています。ですので、離婚により子と「氏」を異にすることになる親 (離婚復氏をせずに、婚氏続称して子と呼称上は同姓になった場合も「氏」は別です) は、子と同戸籍にするため、子の法定代理人として、家裁の許可(「子の氏の変更」許可の審判)を得て子の氏を自分と同じ氏とし、これを役所の戸籍係に届け出て(「入籍届」と言います)、親子同一の「氏」(同一の戸籍)とすることができます。この場合、氏を改めた子は、成年に達したときから一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができます(同条4項)。以上ですので、家裁では「子の氏の変更許可申立て」を行い、その結果の審判書謄本を持って、市役所等での「入籍届」を行うということになります。詳しくは、こちらもご覧下さい。
     
      親子同氏790が原則 故に
  
       子
「ママ名困
790そのくれ790!」
  
        言
われたため
791

    ①   (家裁の)許可けた()   

       (るか
父母(ちちはは)が養縁成って子()()ならば許可せず )  

     れば 変更できる十五
()っこい791ならば

              
() (理人)わって()() 変更


         
改姓 った未成
()成人後一年復氏ができる

                
改姓した父母が子と異氏の例:父母が他人の養子になる場合等







姻族関係終了届

 
姻族関係は、結婚によって配偶者の親族との間に生じる親族関係です。ですので、その配偶者と離婚すると、それに伴って姻族関係も当然終了します(民法728条1項)また配偶者と死別した場合には、遺された配偶者と亡くなった方の親族との姻族関係はそのまま存続するので、扶養義務の関係もそのまま続きます。しかし、戸籍係に終了の意思表示を届けることにより、姻族関係を終了することができます(民法728条2項、戸籍法96条)。また、姻族関係とは無関係に、旧姓に復する「復氏」(民法751条、戸籍法95条)をすることもできます。詳しい扶養義務との関係では、こちらをご覧下さい。札幌市役所のホームページに書式が掲載されています。( 但し、これまでは、配偶者死別後の姻族関係を、親族故の扶養義務が残るだけではないかとする傾きがありましたが、平成30年の法改正により、義父母の介護等に対する貢献ついては「親族の特別寄与料」が認められることとなりましたので、マイナスばかりではなく、バランスが図られてきていることも事実です。)こちらをご覧下さい。





協議
離縁届け

 
離縁届けについては、婚姻届の民法739条が準用される(民法812条)ので、縁組時(§799)と同様に成人の証人二人の署名・押印が必要です。協議離縁の届出は、届けることによって離縁の効果が生じる創設的届出です。また、離縁届けは、代諾離縁の要件を具備していること811Ⅱ~Ⅴ)、一方当事者が死亡している場合の家裁の許可があること(§811Ⅵ)、夫婦養親が未成年養子と離縁する場合は夫婦共同離縁となること811の2)、証人の要件を満たしていること(§739Ⅱ)、その他法令に違反していないことが確認されないと受理して貰えません(§813)。しかし、この審査に戸籍係のミスがあっても、ひと度「受理」されると、「離縁は、そのためにその効力を妨げられない」とされています813Ⅱ)離縁の効果としての復氏(§816Ⅰ)をせず、縁組の日から7年を経過した後の離縁で養氏続称を希望する場合は3か月以内に役所に届けることになります(戸籍法73条の2、§816Ⅱ)。





        
夫婦養親 
(未成養子を)一方


   いいのに
8112
他が() の離縁 ダメ、

   難避く
()739証人二人()()印あるか

        代離
(縁)配意811はあるか、

        その法令違反有無も、調べなければ離縁届は)受理できぬ。


      調りずに受理あればことは容易
813離縁 有効




   離縁したなら実氏(縁組前の氏)いろ816
      在縁
七年(縁組前の氏に)なく三月(みつき)

          名務して767養氏続称 できる」は破綻816」は続称。

  §767は離婚による復氏等の規定。「して」は7の伊語「セテ」、西語「シエテ」から


裁判離縁届け
 判決で離縁が確定したときは、原告となった者は10日以内にその旨の離縁届けをしなければなりません。調停や審判等で離縁が成立したときも同様で、手続きを起こした者が成立した手続きを明示して届けます。訴えや手続きを起こした者が定められた届出をしないときは、その相手方からも届出することができます(戸籍法73条、63条、戸籍法施行規則57条Ⅱ、家事事件手続法268条)。前記10日の期限は、それを過ぎてしまったからといって届出ができなくなる訳ではありません。その日を過ぎると、相手方からも届出が可能となる基準日ということになります。


  婚
(姻)(組の)

    破綻
812散るよ764の届けには

 
     難避く739 ために証人を二人伴い

               
()()印の
書面口頭を要す。



届けの審査関係(まとめ)
 
戸籍係(市区町村長が国から戸籍事務の委任を受けています。戸籍係はその長の監督下で事務を執ります)は、戸籍の届出があったとき、その受理・不受理を決定しますが、その際は、民法・その他の法令に定められた要件を具備しているかを形式的に審査するだけで、届出内容の真実性についてまで調査する義務・権限はありません。しかし、届出場所その他定められた方式の不備や、例えば証人が必要とされる場合の、その不備等のほか、婚姻、縁組等、民法に障碍事由が定められている場合は、その事由があれば受理できませんから、必ずその障碍事由がないことの確認を経なければなりません。婚姻の障碍事由縁組の障碍事由をご覧下さい。


  婚姻届()さい731から、しなさんな737 七箇条
 
 守
ったで、難避()739証人二人(書面か口頭)

     その
法令違反もないと、められねば、受理されぬ



 
戸籍係は、離婚

   小
さく
739証人(二人、4名の署名押印・書面、口頭) チェック後

      大
きく
()()765ならぬよう

        親権
以降
819どちらか 確認し

          その
法令違反有無も、調べなければ受理できぬ。


  戸籍係

   
   縁組くに
792 (から) 799 八箇条

       (は)まれ800通せ縁組届

             
まらぬ受理
ならぬ


  夫婦養親
(未成年養子を)一方

   いいのに
8112他が() の離縁 ダメ、

     難避く
()
739証人二人()()印あるか

       代離
()
配意811はあるか、

        その法令違反有無も、調べなければ
離縁届は)受理できぬ。
 



受理の効果関係(まとめ)
 婚姻やその離婚、養子縁組やその離縁等については、届出の審査の所で述べましたように、戸籍届けの際に、受理の障碍になる事由がないこと等の審査を受けます。しかし、その審査をパスして一旦届出が受理されると、その撤回は認められず、これらの身分行為は、その効力を生じます。その内、婚姻と縁組については、その各障碍事由が見過ごされて受理となった場合、或いは、詐欺・強迫による婚姻・縁組である場合、その瑕疵を正すためには、民法の定める取消しの請求によることになります(民法743条803条)。また、離婚と離縁については、それぞれの当事者の離婚意思・離縁意思の合致が重んじられて、離婚・離縁の効力は妨げられません(民法765条2項813条2項)その意思の合致がない場合については、戸籍の訂正や離婚・離縁無効の訴えを要することになります。婚姻の障碍事由縁組の障碍事由もご覧下さい。
(婚姻届け)


 
受理されぬ(婚姻)けの難所740一度(ひとた)受理 一応有効

   
れども不適齢
(§731)重婚(§732)禁期(§733)近親婚(§734~§736)

                       
後日取消()れあり
(§743746


   ヤレ二
802‘婚礼’なすも人違意思ナシ届ナシ(のいずれか)ならば

                       婚姻無効
夫婦ナシ
 742




  (婚姻届け)同意欠缺(けんけつ)737)

     片方同意りるから、他方不同意なさんな
737

      小さくに
739
証人二人
届ける(ことの)不備

          ‘ナシ
742とされて受理 有効


(離婚届け)

   戸籍は、離婚

    さく
739証人(二人、4名の署名押印・書面、口頭) チェック後

      大
きく
()()
765ならぬよう

         親権
以降
819どちらか 確認し

           その
法令違反有無も、調べなければ受理できぬ。


     調りずに受理あれ

        
戸籍係
難務功
765 離婚届はなんと 有効!




(
縁組届け)

 ならぬ
(縁組)届けも一度び受理で、一応有効、然れども、

    やれそう
803やれよ804
(から)やれや808(まで) 五箇条

        定められたる取消原因 あれば
(家裁に) えて縁組取消しできる也。


  ヤレ
802‘養子とする’

   
 人違意思ナシナシ
(のいずれか)ならば

          
縁組 無効(養)親子ナシ
742

  但し、さきに
739証人二人不備‘ナシ 742とされて受理 有効




離婚・離縁の戸籍の訂正
 
婚姻と縁組は、いずれも届けることによってその身分行為が完成、成立し、各種の重要な効力が発生しますから、その受理には、障害事由の有無の審査が重要ですが、身分関係を解消する離婚と離縁については、いずれも離婚意思・離縁意思の合致がありさえすれば、離婚・離縁は有効に成立します。それまでの婚姻や縁組の関係を将来に向けて解消させるだけなので、詐欺・強迫による離婚・離縁は後から離婚取消し、離縁取消しの各裁判の余地が残りますが、そうでないものは、その身分行為の核心である離婚意思・離縁意思の合致を重んじて、その余の点に関する受理審査にミスがあっても、離婚・離縁の効力は妨げられません(765条2項813条2項)。但し、離婚意思・離縁意思の合致がなかった場合は、第三者から離婚・離縁を前提とした主張をされたときには、取消しの裁判を待つことなく、無効の主張で対抗できます。でも、いずれも離婚届け、離縁届けの記載はされてしまいますから、これを訂正して貰わなければなりませんので、その戸籍の訂正ためには家裁での調停(離婚無効確認調停・離縁無効確認調停)を受けることになり、調停が不成立で終わった場合は、同じ家裁での裁判(離婚無効確認の訴え離縁無効確認の訴え)、つまり人事訴訟(人事訴訟法2条1号、3号)へと進むことになります。こちらをご覧下さい。 
           

 調りずに受理あれ

        
戸籍係
難務功 765 離婚届はなんと 有効

 
調りずに受理あればことは容易813離縁 有効


§
739は婚姻の届出に§741は外国での日本人間の婚姻の方式に、§764は離婚に関する婚姻規定
の準用に、§765は離婚の届出の受理に、§801は外国での日本人間の縁組の方式に、§811の2
夫婦である養親と未成年者との離縁に、§812は離縁に関する婚姻規定の準用に、§813は離縁届け
の受理に、§819は離婚の際の親権者に関する各規定



死亡届け

 
人が死亡したときは、死亡を知った日から7日以内 ( 国外で死亡した場合は、3か月以内 ) に、医師の作成した死亡診断書又は(医師が生前から診療していた場合でないときは)死体検案書を添付して死亡届けをしなければなりません(戸籍法86条1、2項)。同居の親族が届出義務者とされていますが、 その他、別居の親族や、親族がいない場合は、家主・地主又は家屋若しくは土地の管理人からも、順序を問わず、死亡の届出をしなければなりません(戸籍法87条)。やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面をもってこれに代えることができ、その場合には、届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならないとされています(戸籍法86条3項)。届書は、法務省のホームページ内でその書式・記載例がご覧頂けます。