親権者による身分行為の代理
と 未成年者による訴訟行為
親権者は、子の福祉のため子の監護・教育(民法820条)、財産管理(民法824条)の任務を担います。しかし、子の結婚や養子縁組等の身分行為は、本来、本人の意思により本人自身で行為されるべき一身専属性のものですから、原則として他人が代わってできるものではありません。ですから、人の身分行為は、本来、代理に馴染まないとされています。それで、民法824条では、子に代わる代理権を「財産に関する法律行為について」与える旨を明示して、「代理」は、財産行為に関する旨の原則を示しています。通常の民事訴訟事件について定める民事訴訟法は、訴訟能力、訴訟無能力者の法定代理は原則、民法の定めるとろによる旨を定め(民訴28条)、また、未成年者は、原則、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができないと定めています(民訴31条)から、子の財産行為のための訴訟には、親権者が子の法定代理人としてあたることになります。しかし、婚姻、離婚、嫡出否認、認知、養子縁組、離縁等の人事事件を扱う人事訴訟では、財産行為に関する行為能力の定め(民法§5、§9、§13、§17)や上記民訴法31条は適用されませんから、原則、意思能力があれば子が、未成年であっても自身で訴訟ができます(人事訴訟法13条1項)。(但し、同条2項、3項により、申立てや職権でその事件の裁判長が訴訟代理人を付ける場合があります。) つまり、未成年者のいわゆる本人訴訟も可能なのです。民法962条は、遺言について、同様に行為能力規定を適用しない旨を定めています。
人はみな、本来、心に962 芽生えたら、
婚姻 731・737・738・縁組797・認知780や (嫡出)否認778、己れで決める、代理はきかぬ。
人の身分(行為)のありようは、一人で、誰の承認も不要で、自己の決するところ(に従って)、 行為ができる、
財産(行為)ならば、適用さるべき、未成年(§5)・後見(§9)・保佐(§13)・補助(§17)、適用はなし (行為能力不要) 。
本人に意思能力があればよい。これが(身分行為についての)極意さ、いいな 君!。
そのように、原則として親権による介入の及ばない子の身分行為ですが、民法は、子の福祉のための必要から、子の一定の身分行為に関して、例外的に代理を認める旨の規定を八箇条 置いていますので、それらをここでまとめて記します。下記の判例(最判昭43・8・27)は、このように未成年の子本人と、法定代理人である親とが訴訟行為能力を認められることについて、「このように法定代理人が子を代理して認知の訴を提起することができるものとすることによつて、子に意思能力がない場合でも右訴の提起が可能となるのであるが、
子に意思能力がない場合にかぎつて法定代理人が右訴を提起することができるものと解することは、子の意思能力の有無について紛争を生じ訴訟手続の明確と安定を害することになるおそれがあつて、相当でなく、他面、子に意思能力がある場合にも法定代理人が訴訟を追行することを認めたからといつて、必ずしも子の利益を実質的に害することにはならないものと解されるのである。」と述べています。なお、ここでまとめる親権者による子のための人事訴訟での訴訟行為は、上記のとおり例外的な「法定代理」ですが、人事訴訟での後見人による被後見人のための訴訟行為(人事訴訟法14条)は、判例によって、「法定代理」ではなく「後見人の職務上の地位に基づく訴訟行為」であるされています。その判例についてこちらもご覧下さい。
① 認知の訴え(787条)
子孫(直系卑属)と
法定代理人は、父母の
生前 &没後(の)三年 (迄)は、父母知 787
(認知)の 訴えできる也。
○未成年の子の法定代理人は、子に意思能力がある場合でも、子を代理して、認知の訴を提起することができる旨を判示した判例(最判昭43・8・27)
この判決は、その理由として「身分上の行為は、原則として法定代理人が代理して行なうことはできず、無能力者であつても意思能力があるかぎり、本人が単独でこれを行なうべきものであり、
これに対応して、人事訴訟については訴訟無能力に関する民事訴訟法の規定は適用 がないものとされているのである。したがつて、未成年の子も、意思能力がある場合には、法定代理人の同意なしに自ら原告となつて認知の訴を提起することができるものであり、このことは人事訴訟手続法三二条一項、三条一項の規定に照らしても明らかである。しかし、他方、民法七八七条は子の法定代理人が認知の訴を提起することができる旨を規定しているのであり、その趣旨は、身分上の行為が本人によつてなされるべきであるという前記の原則に対する例外として、法定代理人が子を代理して右訴を提起することをも認めたものと解すべきである。また、人事訴訟手続法も、無能力者については当事者本人が訴訟行為をすることを原則としてはいるが、法定代理人の代理行為をまつたく許していないものとは解されない。そして、
このように法定代理人が子を代理して認知の訴を提起することができるものとすることによつて、子に意思能力がない場合でも右訴の提起が可能となるのであるが、
子に意思能力がない場合にかぎつて法定代理人が右訴を提起することができるものと解することは、子の意思能力の有無について紛争を生じ訴訟手続の明確と安定を害することになるおそれがあつて、相当でなく、他面、子に意思能力がある場合にも法定代理人が訴訟を追行することを認めたからといつて、必ずしも子の利益を実質的に害することにはならないものと解されるのである。したがつて、未成年の子の法定代理人は、子が意思能力を有する場合にも、子を代理して認知の訴を提起することができるものと解するのが相当である。
してみれば、被上告人の法定代理人母Dが被上告人を代理して提起した本件認知の訴は、その提起当時満一四才九ケ月であつた被上告人が意思能力を有していたと
しても、なお適法なものと認めるべきであつて、その前提に立つて本案判決をした原審の措置に所論の違法はなく、論旨は、採用することができない。」と述べています。
② 嫡出否認の訴えの被告となる(775条)
「嫡出 」のウチの子「父誤 775、我が血なし774」、
嫡出否認の訴えは、その子か、親権持つ母を、
被告としてのみできる也。
(親権を行う)母(が)いなければ、裁判所 選任による特(別)代(理)人。
③ 15歳未満の子の縁組の代諾(797条)
子が他人の養子となるとて、親 泣くな797、
十五(歳) になれば、子の自由
(但し、家裁の許可要す。§798)、
十五未満は親 (法定代理人) が 代諾。
④ 協議離縁(811条2項)
養縁破綻 茨 811、離縁の配意811、
協議離縁ができる也。
養(子)十五(歳) 815未満 離縁は、
(養子)本人も至る事情をよう言わん811、
離縁後に法(定)代(理 人)たるべき代理者が、
代諾することできる也。
⑤ 離縁の訴えの提起(815条)
養(子)十五(歳) 815未満 (離縁)は
‘離縁 (したい) ’もよう言わん811、
(離縁協議には、離縁後の)法(定)代(理) たるべき実親(或いは後見人)が
代諾 するか、さもなくば離縁の訴えできる也。
廃養814裁判(も)、養子身の
背後815控える法(定)代 (理)
が
(
養親を相手に)訴え又は訴えられる。
⑥ 未成年者が養親となる縁組をした場合の取消請求(804条)
性急に792未成年者が養子とる
違法がバレし804縁組は、
養親又はその法(定)代(理人)、取消請求できる也。
但し、成人後六月経過か追認で、
取消請求できぬ也。
⑦ 相続の承認・放棄(917条)
相続人未成年者か被後者(被後見人)なら、
(熟慮期間の3か月は)この人な917らで の
(その)法 (定)代 (理人)が(本人のための相続開始を)
知った時から起算して、
悔いな917きを期せ (相続)承認放棄。
⑧ 未成年の子の非嫡出子に対する親権の代行(833条)
未成 (年、未婚)の 我が子に児が宿るとさ833、
親権に服する子供の親権 を
やむなし867爺婆代行す。
§867は、後見人による被後見人の親権の代行に関する規定