婚姻取消しの効力
 
婚姻取消しによる効果を、一般法律行為の取消し(民法121条)同様に遡及効のあるものとすると、法律関係が煩雑になり困難が伴うため、この取消しについては「将来に向かってのみ」取消効が生じるとされます(民法748条1項)。その結果、取り消された当該婚姻は、その時までは有効であったことになるので、日常家事債務の連帯や子の嫡出身分もその侭維持されることになり、結局749条によって、離婚の規定(民法728Ⅰ766~769 790Ⅰ819Ⅱ、Ⅲ、Ⅴ、Ⅵ)が準用され、これにより事後処理が行われることになります。準用により取消しに伴って処理されるべき事を列挙すると、下記条句のとおりとなります。そして、これらとは別に、その婚姻により双方間に生じた財産の得喪関係については、これをそのまま維持するのは妥当でないため、不当利得の原則(民法703条704条)に準じて、婚姻の時その取消原因のあることを知らなかった当事者が、婚姻によって取得した財産は、現に利益を受けている限度において返還させ(748条2項)、知っていた当事者には得た利益の全部を返還させると共に、相手方が善意であったときはその損害賠償もすべきであると定められています(748条3項)


    には
728縁切(姻族終了)


       名務
して
767復氏・婚氏続称

       (ろう) 766子の監護事項

      親権以降819どちらか親権〔真剣〕俳句819


   子くれ
790の氏)、姓婿(せいむこ)769 769難問768

             祭祀承継
財産分与
 婚取消
準用

                   
なしく
749にも解決すべし


名務「して」は、7の西語「シエテ」、伊語「セッテ」から
                 
 (それぞれの条句の元句については、「離婚の効果」をご覧下さい。)






  
婚姻取消効
将来かってのみ

          遡及(そきゅう)ナシ 748
  
  
日常家事債(務の)連帯(責任) (子の)嫡出身分もその(まま)
               済
案外なよや
748かや

   されど(取消)原因知らぬ (善意)

        利得 があれば(なお)(ざん)703 (現存利益)返還すべきも
      
 
(取消原因あることにつき
)悪意なら全利()返還すべき

             猶(なお)(よ)704善意相手には損害賠償すべき